Twitter@udanao


by udanao
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

<   2013年 05月 ( 2 )   > この月の画像一覧

選ぶということ

b0010191_15405214.jpg

何か1つを選ぶということは、
もう一方を選ばないと決めるということだと、
前にある人が言っていた。
例えば、2つの選択肢の両方が、住み慣れた土地を離れて、
なにが起きるかもわからない知らない場所に行くというものだったら、
人は、その時選ばなかったもう一つの道について、
後からどのぐらい思いを馳せるのだろうと思う。

72年前に、ある2つの選択肢を迫られた人たちがいて、
片方は自分のルーツではあるけれど訪れた事のない国に行き、
もう一方は、生まれ育った国の中ではあるけれど外国人として扱われ、
収容所に集められたのだという話を聞いた。

そんな2つの選択肢を前に、
離ればなれになったとある2人の友人がいて、
もうそれ以降会うことはなかったけれど、
時間の流れと不思議な縁で、長生きをした片方の人と、
割と若くして亡くなってしまったもう片方の人の孫が会うことになる。

72年前の別れの前に、Kayeにノートにメッセージを書いてもらったんだよ
あんまりたくさんのものは持って移動できなかったから、
大切なノートとコインのコレクションのファイルを持って行ったんだ
と言いながらジョージさんは私と妹に祖父のサインを見せてくれた。
筆記体でWords fail meと書かれたそのページを3人で見つめながら、
これは、気持ちが言葉になりませんという意味だよと
ジョージさんが滅多に使わない日本語で訳してくれた。

今も昔も、いつだって、一番強い気持ちは言葉にはできなくて、
その時の雰囲気や時間の流れの一部を切れ端のようにして残すことしか
叶わないのだろうと思う。
それでも、私や妹にとっては実際に会った記憶がほとんどない祖父が、
確かにそこに存在したということがとても強く伝わって来て、
80年以上前に出会った友達のことをいつまでも大事に思っている
ジョージさんが、また遊びに来てねって言ってくれることも、
いなり寿司とお茶漬けをごちそうしてくれることも、
もう、何だか切なくて愛おしくて、
これこそWords fail meだよなと思いつつ、
もうすぐ祖父の生まれ故郷のバンクーバーに向かいます。
[PR]
by udanao | 2013-05-27 15:31 | life
b0010191_1203294.jpg


元々私は写真を使って美術と関わり始めましたが、
絵を描いたり、立体的なものを作ったりもします。
話しかける相手によって日本語と英語を使い分ける時と同じように、
言いたいことや表したい気持ちによって、
写真がしっくりくる時もあり、
絵の方が自然だと思うこともあります。

アメリカの美大に留学していた頃、
写真学科に在籍していたにも関わらず
自分の写真についてうまく説明できない、
何だかもどかしい時期がありました。
そんな時に「オリジナリティー」という名前のクラスと出会い、
「アーティストなんだから自分にしかできないものを
自分らしく作りなさい!」と
心から応援してくれる先生のおかげで、
NU(ヌー)というキャラクターが生まれました。
写真を通じてだとうまく話せなかったクラスのみんなとも、
NUを介して距離が近くなっていったことをよく覚えています。

そんな頃から8年ほど経ち、
最近とてもうれしいことがありました。
ニューヨークの美術館が行うパブリックアートプロジェクトの公募で、
NUが選ばれ、4月25日から9月29日まで展示されることになったのです。
ニューヨークの「Bowery」というエリアには
ここ数年ギャラリーや美術館、
おしゃれなレストランやお店などが集まってきており、
アートと街と人の関係を新しく見つめていこうという動きが
広がっています。
今回のプロジェクトは、Boweryにある
いくつかのお店のシャッターをキャンバスにして、
美術館やギャラリーが閉まった後にも
アートを楽しめる空間を作ろうというものです。
アートファン達が、アーティストが録音した作品説明を
携帯電話で聞きながら街を歩いたり、
または、たまたま通りかかった人も、
今まで知らなかった作品と出会えるという
長い時間をかけてアートを理解してもらおう
という内容の展覧会になっています。

参加アーティスト14名のうち、
他の13名は招待されて作品を提供した有名な方々なのですが、
そんな中で唯一の公募枠に選んでいただき、
ちょっと誇らしい気持ちです。

今回、オープニングパーティーに合わせて
久しぶりに訪れたニューヨークは、
いつも通り不思議なエネルギーに溢れていて、
そこにいる懐かしい友達や先生、新しく知り合った人たちが
自分の人生なんだからやりたいことをしなよ!と言っていました。
パーティーで会った他のアーティストや美術関係の方も、
おめでとう!選ばれて良かったねぇ!と
何度も何度もハイタッチをしてくれ、
アーティストなんだからニューヨークに住まないとね!と
すごく当たり前のように言って下さったのがとても印象的でした。

これまでは、自分が写真を使うアーティストなのか、
それともNUを使って表現したいのか、
自分でもうまく理解できていない部分がありましたが、
どちらも必要に応じて好きなように追求するものなのだと
今は心から思います。
表現のために何を使うかという分類は、本当は全然重要ではなく、
どんなものを使ったとしても、
その表現の中身に共通した芯があることが
一番価値があるのだと実感しています。
すぐに理解できたり、簡単にわかることは
目に見えやすいかもしれませんが、
目に見えないものがこの世に存在しないわけではないと信じながら、
これからも制作を続けていこうと思います。

展示の内容はこちら
ニューヨークタイムズで発表していただいた記事はこちら
[PR]
by udanao | 2013-05-09 01:39 | show