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by udanao
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犬と私

犬と私_b0010191_2227975.jpg


ある日妹のところに犬が住み始めて、
最初はお客さんのようだった犬がだんだんと存在感を増し、
だんだんと家族の暮らしの中心のようになり、
私はやや疎外感すら覚えたりして、
でもだんだんと自分も犬の存在に馴れて行き、
犬がいることが当たり前の毎日のようになって行くという、
そんなものなんだろうなとふと思った。
# by udanao | 2013-02-01 22:34 | life

Eddy

Eddy_b0010191_22342100.jpg


私は言語や文化に関する現象にとても興味があるけれど、
最近、感情をうまく言葉にできないことが相次ぎ、
言葉にならない悲しさとか、理由なんて理解できない出来事と
向き合うために美術があるんだとまた思い出した。
話さなくて良くて、でも感情を処理できるという美術の優しさに
今まで何度も救われたんだった。

私が生まれた時からEddyという名前で近くにいた親戚のおじさんが、
キヨシさんという名前もあると知ったのはいつだっただろうと思う。
そのおじさんとセットで親戚の中には「カナダのおじさん」もいて、
例えば、派手な色のゼリーの素だったり、
チキンヌードルスープが欲しいとリクエストすると
カナダから小包が届いたりするような、そんなことがあった。
クリスマスになるとカードが届いたり、ターキーを焼いて食べたり、
自分の中で小さい時の思い出として覚えていることが、
実はいろんな人のいろんな気持ちの中で受け継がれて来たものなのだと
その人がいなくなってから実感することばかりだ。

カナダで生まれて、子どもの時に日本に来て、
20歳ぐらいでまたカナダに渡って、40代で日本に戻り、
70代になっても英語の勉強をしてたのだとわかるものを
おじさんの持ち物の中に発見して、
今、おじさんはカナダと日本のどっちにいるのだろうと思う。
そして、そんな手書きの英語メモと一緒に、
去年のいとこの結婚式の時に私が作った席次表やプロフィールを載せた冊子が
きれいに整頓されているのを見て、もっと話してみたかったなと思った。

だいたいの場合、聞きたいと思っていた話とか、
見ておきたかった何かの本当の意味なんてものは、
時間が過ぎてからしか伝わらないことが多くて、
私が取り組みたいと思っているプロジェクトは、
結局は答えのわからない問いについて、
ずっと考え続けるための口実のような、味方のような、
そんな存在なのだろうと思う。
一枚一枚本のページをめくるみたいにだんだんとわかることが増えて、
もしかしたらわからないことも深まって行くのかもしれないけど、
いろんなことを取り込んで、作品を生み出し続けられたなら
本当に幸せだと最近心から思う。
今年も制作の一年にしたいものです。
# by udanao | 2013-01-29 23:05 | life

blue and tree

blue and tree_b0010191_001629.jpg


ついこの間、美術に関わる人達と話をしていた時に
この世の中に、極めて個人的で内輪で、
少しも普遍的な何かを示唆しないような
そんな美術作品が存在するのだろうかという話題が出た。
例えば、スタイルが個人的だったり、ある地域独自のものだとしても、
その内容や意味は、住んでいる場所が違ったり、
社会のシステムが違うところにいる人たちの人生の問題とだって
繋がってしまうのではないかと。

夏の台湾の個展の時から、
二つのものの間に発生する距離について考えている。
何か二つのものがある場合、
その間の距離は時代とか、関係とか、事情とか、
いろんなことが理由で近くなったり遠くなったりして、
どうやって測ったらいいのかわからない時もあるのだと思う。
その間をどうにかして近付けたり、境目を曖昧にしたり、
距離を認めたりするために、美術は大きな意味を持つのだろう。
美術という名の下で、世界の問題について思う事があったなら、
何かを表現してみていいんだよという大義名分が生まれて、
そうしたらそれは、現実のやむを得ない状況について
正々堂々と考えたり話したりするための糸口になるのかもしれない。
本当なら、そんな言い訳なしに好きなことを好きなように話すのが
きっと自然で心地よい事なのかもしれないけど、
様々な理由でそれが叶わない時でさえ、人は例え話や知恵を使って、
自分が考えることを伝えて行こうとするのだろうと、
ここ最近出会った一連の作品を観て思った。
# by udanao | 2012-12-17 00:29 | art

Taiwan

Taiwan_b0010191_043217.jpg


台湾の展示が終わって作品を受け取りに行く飛行機の中で、
たまたま窓側に座り、久しぶりに雲の上から空を見た。
一緒に行った妹は離れた席に座っていたので、
亡くなった人っていうのは一体どこに行くんだろうなどと考えながら
多少の孤独感を味わったりしていた。
その後無事台北に着陸し、飛行機の入り口で再び合流した妹に
「ねぇ、天国ってどこにあるのー?」とふざけて聞いてみたところ、
「ばかだねー、もっと上の方だよ!」とあっさり答えてくれて、
なんだかほっとした。
そんな、人が簡単に到達できるようなところにはないんだよって。

台湾に行くのはこれで4回目で、
行けば行くほど、10年前に初めて台湾に行った時のことを思い出す。
私の大事な友人の台湾出身のお母さんが、
私を高校の卒業祝いとして台湾に連れて行ってくれた時、
私はまだアメリカにも留学する前で、
周りがどれだけ自分を暖かく見守って支えてくれるかにも気付かずに
自分のことだけで手一杯だったのだと思う。
そして、それから10年経った今でも、
まだ同じ状態で暖かく支えてもらっていることを改めて思い知るのだ。
数年ぶりに会った人たちが「奈緒、変わらないね!」と言って優しく迎えてくれ、
おいしいものとか美しいものをたくさん見せてくれて、
改めて自分が何で写真を撮り始めたのかを思い出す。

台湾では子どもが生まれた時に、ご両親が金でできた干支のネックレスを贈り、
その子が将来何かで困った時の助けになるようなお守りとして持たせるのだと聞いた。
友人がいなくなった時に、私は友人のご両親からそのネックレスをいただいた。
時間が経ってみないとわからないことはたくさんあると思うけど、
いつになったとしても、何かが理解できたり、伝わることには意味があると感じる。
親が子を想って、何かを受け継いで行くというのは、
生き物の運命のようなもので、
きっととても美しいのだなと台湾に行くといつも思う。

私が大事だと思う友人を生んだお母さんが、
そのお母さんの長年の友達にとっての大事な人で、
だから、そのお友達が私のことや私の家族までもを大事にしてくれるという
なんだか不思議な円のようなものが、本当に暖かくて、
住んでいる所が離れていても、どんなことがあったって
繋がりを絶やさずに生きていきたいと心から思いました。
# by udanao | 2012-10-23 01:25 | life
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\"The Distance Between the Two\"展@台湾のお知らせ_b0010191_18402518.jpg


6歳ぐらいの時、祖父が入院していた病院のロビーか、
または空港に向かうバスが出発するターミナルのようなところで、
手帳に筆記体でメモを取る外国の人を見て、
スラスラと何かを書く姿に憧れたことがあった。
その言葉が何だかもよくわからず、
でもとても印象的だったので、
私もノートに筆記体風の何かを書いてはtとかiの点を後から打って
外国の言葉のようなものが書けたことに満足していたことがあった。

人は、何歳ぐらいの時に
世界には自分とは違う言葉を話したり書いたりする人がいて、
例え同じ言葉を話す者同士であったとしても、
結構な努力をしなくては
意思の疎通というのは難しいらしいと気が付くのだろう。

そしてある時、韓国の空港を出て、
北京経由で日本に帰るという飛行機の中で、
私の隣には中国人のお母さんと、
韓国のパスポートを持った2歳のお嬢さんが座っていた。
その子は日本に在日韓国人のお父さんがいて、
家族の会話は日本語でしているらしく、
私とも日本語で話して遊んでいたけれど、
そのうち、近くに座っていた4歳ぐらいの中国人の女の子が近づいて来て、
おもちゃを差し出しながらその子に中国語で話かけていた。
2歳の子は「あ、おねえちゃん来た!」と日本語で言い、
年上の子は中国語で何かを語りかけるということを繰り返し、
二人が何を感じていたかはわからないけれど、
多分楽しい時間だったんだろうと端から見ていて私は思った。

大人になるにつれて、形とか考えとかを気にして、
言葉が通じるかとかきちんと理解されているかとか
そんなことばかりに頼るようになるのかもしれない。
本当は結構近いものをとっても遠いと思ってみたり、
実は違うものを無理に近いと思ってみたり、
場合によって自由に変化する距離を
無理矢理にでも定めようとしてみたり。

本当のところがどうなのかなんてことは、
その場所に立って時間をかけてからやっと見えて来るのかもしれません。
台湾での個展でじっくりと考え、新しいヒントを見つけて来ようと思っています。
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Nao Uda solo show "the distance between the two"
宇田奈緒 個展「2つの間にあるもの」展
小南風 minami zephyr
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-Tel: +886-2-23633138
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# by udanao | 2012-08-05 02:22 | show